「八雲立つ」山陰と山陽をつなぐ特急でゆるたびへ

ゆるく旅をする「ゆるたび」のつもりが高梁市には1年以上お世話になっている。
今回は高梁川に沿って走る伯備線や備中高梁駅周辺の鉄道旅の過去と今の話をお届けしてみたい。
岡山駅と島根県出雲市駅を行き来する伯備線の特急「やくも」号。その愛称の由来は、島根県東部の旧国名、出雲にかかる枕詞の「八雲立つ」からという。

はじめて乗った特急やくもの車両の色は、緑が基調であった。復刻車両通称「緑やくも」。車窓から見えた高梁川沿いの美しい風景に目を奪われた。清らかな川のせせらぎ、鴨か川鵜か川辺の水鳥たち、対岸の山々の新緑。川と車道と線路が並行し、緑やくもは、なだらかなカーブを走る。伯備線は気持ちよく揺れる。
「緑やくも」リバイバルは惜しまれつつ終了。

伯備線は高梁川を眺めることのできるシートに座るべし。
岡山駅から備中高梁駅までの30分ほどの鉄道ゆるたびのお供には、缶ビール1本かワンカップ1本くらいがちょうどいい。
この日は新見市の酒「 三光 ひのくち しぼりたて 生原酒」385円(税込)三光正宗。
岡山駅で購入。
沿線の歴史と文化に彩られた新型やくも

2024年の春、新型の特急やくもが走りはじめた。
どの車両も新しいのでぴかぴかと輝き、見ているだけで気持ちが高ぶった。独特の車両カラーが印象的。
この珍しい色は「やくもブロンズ」というらしい。ブロンズとは金・銀・銅の銅の色。ある解説によると、沿線周辺地域にゆかりのある色とのこと。宍道湖の夕日や赤瓦など4つの色が元となり「やくもブロンズ」が生まれた。
新型特急やくもは沿線の歴史や文化に彩られている。
おもてなし!期間限定「WEST EXPRESS銀河」備中高梁駅停車

出雲市駅と京都駅をむすぶ期間限定の夜行特急列車「WEST EXPRESS銀河」も人気の列車であった。備中高梁駅に30分ほど停車する。高梁市周辺の名産品や伝統芸能などで乗客をおもてなしするひとときがとてもいい。「備中たかはし松山踊り」や「吹屋小唄」など高梁の魅力をPR。

高梁の地酒もおすすめしている。
「大典白菊・本生冷酒」440円(税込)

「また高梁へゆっくりお越しください」
備中高梁駅のホームで銀河をお見送りをする。
午後10時、夜のしじまに汽笛が鳴り響く。銀河はゆっくりと備中高梁駅をはなれてゆく。
備中高梁駅で記憶の写真を見てみよう

備中高梁駅西口のロータリーに古い写真が掲げられている。まだ蒸気機関車が走っていたころの写真や昔のやくもの写真など。懐かしさと新しさを感じられる貴重なスポット。
壁の隙間からホームが見える。停車中の懐かしい国鉄カラーのやくもを見つけたことも。

外から移住してきた人が「高梁は交通の便がよい」と言った。新幹線駅である岡山駅から特急で30分。山間の小さなまちではあるが、大正時代から鉄路が整っていた。人もモノも行き来していた。
2026年、備中高梁駅は開業100周年を迎える。
伯備線の備中高梁駅で皆様のお越しをお待ちしています。